低濃度PCB廃棄物の保管と官公庁への報告方法


今回は自分の備忘録も踏まえゼロから始めた低濃度PCB廃棄物の保管、官公庁への報告方法を記載させて頂きます。

初めてやった時は訳もわからずとっても焦ったので、このブログを参考にしていただき初めて実施する方の不安が少しでも低減できれば幸いです。

これまで先輩方が頑張ってくれたため、弊工場にはPCB廃棄物はなかったのですが、先日低濃度PCB廃棄物が出ることになりました…😵

特別管理産業廃棄物管理責任者の資格(講習)は受けていましたが、実際低濃度PCBの保管や官公庁への報告はしたことがありませんでした。

今回の低濃度PCB廃棄物保管と官公庁への報告までの流れを簡単に記載すると

①排出部門でPCB濃度をLot (種類)毎に測定して貰う

②測定結果より低濃度PCB廃棄物に該当か、非該当なのか(はたまた高濃度なのか?)判定する

③低濃度PCB廃棄物をどこに置くか決め、誰が責任者として保管するか決める

④保管場所に特別産業廃棄物置場である旨・管理責任者(国家資格保有者)の氏名・保管している特別産業廃棄物の内容(今回は低濃度PCB廃棄物)等を記載した看板を作成、掲示する

⑤密閉できる容器を準備し(今回はドラム缶)、対象物をビニール袋に詰め重量を測定しドラムに詰め込んで、密閉する(施錠する)

⑥4月以降(6月末までに)「PCB廃棄物保管状況及び処分状況等届出書」を作成し、官公庁(自分の場合は県庁の廃棄物指導課でした)に提出し受理して貰う

⑦①〜③の間で低濃度PCB廃棄物を処理・運搬してくれる外部業者を探し、PCB含有も含め廃棄物の特性等WDSで伝え、処理可能か検討して貰う(ここから契約等を結び排出できるのは早くても6ヶ月ぐらいかかります)

この後①〜⑥までの詳細を記載させて頂こうと思います。

なお手続き等は自治体の条例、官庁担当者の考え方、廃棄物が排出される時期等で若干違いがありますので、管轄する自治体に詳細はお問合せください。

①排出部門でPCB濃度をLot毎に分析して貰う

PCB含有廃棄物については判定基準の検定方法が決まっていることに注意が必要です。

今回初め排出部門で分析結果を持ってきましたが、どうやら「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(以下 化審法)に基づく分析を行っていたようでした。

このままでは高濃度PCBか?低濃度PCBか?はたまた通常の産業廃棄物か?判定するには「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」(旧厚生省告示第192号、平成4年7月)に基づく分析を実施しないといけませんので、再度外部分析期間に分析を依頼して貰いました。

この分析結果が出るまで2か月ぐらいの期間がかかり、1Lotあたり5万円ぐらいの費用がかかったと聞いてます。

②測定結果より低濃度PCB廃棄物に該当か、非該当なのか(はたまた高濃度なのか?)判定する。

PCB廃棄物かそうでないかの基準(卒業基準と呼ばれています)は下記の表となっております。

(低濃度PCBのうち「低濃度PCB汚染物」については「低濃度ポリ塩化ビフェニル汚染物の該当性判断基準について(通達)(平成31年3月28日付け環循規発第1903283号、環循規発第1903281号)」により、原則として「PCB処理物の判断基準と同じ数値を低濃度PCB汚染物の該当性判断基準とする」とされた。これにより、PCB処理物の判断基準である表1の基準に適合する廃棄物は低濃度PCBに該当しないこととなる)

表1.PCB処理物の判定基準

種類基準
廃油0.5mg /kg以下(含有量)
廃酸・廃アルカリ0.03mg /L以下(含有量)
廃プラスチック類・金属くず・陶器くず
(次のいづれかの方法を採用)
・洗浄液試験法
・拭き取り試験法
・部材採取試験法
付着又は封入されていないこと


洗浄液:0.5mg/kg以下(含有量)
面積:0.1μg/100cm2以下(付着量)
部材:0.01mg /kg以下(付着量)
上記以外のもの(汚泥・燃え殻・ばいじん等)検液が0.003mg /L以下(溶出量)

高濃度廃棄物となる基準は表2となります。

表2.高濃度PCB廃棄物となる基準

廃棄物の種類高濃度となる基準
PCB原液が廃棄物となったもの全ての高濃度PCB廃棄物に該当
PCBを含む油が廃棄物となったもの油の重量に占めるPCBの重量の割合が
0.5%を超えるもの
汚泥、紙くず、木くず又は繊維くず
その他PCBが塗布され、又は染み込んだもの
該当廃棄物のうちPCBを含む
部分の重量の割合が
100000mg /kgを超えるもの
廃プラスチック類のうち、
PCBが付着され、又は封入されたもの
当該廃プラスチック類のうち
PCBを含む部分の重量の割合が
100000mg /kgを超えるもの
金属くず、ガラスくず、陶磁器くず
又は工作物の新築、改築若しくは除去に
伴って生じたコンクリートの破片
その他PCBが付着され、
又は封入されたもの
該当廃棄物に付着し、
又は封入されたものの
PCBを含む部分の重量割合が
5000mg /kgを超えるもの

①の分析結果と上記基準より4Lot中2Lotが低濃度PCB廃棄物となりました。

③低濃度PCB廃棄物をどこに置くか決め、誰が責任者として保管するか決める

PCB廃棄物は「特別管理産業廃棄物」にあたりますので、「特別管理産業廃棄物管理責任者」の資格を持った人が保管・処理(外部委託処理)の責任者とならないといけません。

自分の工場では工場規則で単独廃棄物については、廃棄物の保管・外部委託は排出部門の責任となってますが、そんな資格を排出部門が持っているわけもなく、資格を持った自分が保管・処理の責任者にされました😭保管場所についても自分で探して決めました😓

産業廃棄物の保管基準は沢山ありますが、PCB廃棄物保管基準として特別なものを下記に抜粋します。

・PCB汚染物又はPCB処理物にあっては、容器に入れ密封し、当該廃油又はPCBの揮発の防止のために必要な措置及び当該廃油、PCB汚染物又はPCB処理物が高温にさらされないために必要な措置を講ずること

・PCB汚染物又はPCB処理物にあっては、当該PCB汚染物又はPCB処理物の腐食防止のために必要な措置を講ずること。

④保管場所に特別産業廃棄物置場である旨・管理責任者(国家資格保有者)の氏名・保管している特別産業廃棄物の内容(今回は低濃度PCB廃棄物)等を記載した看板を作成、掲示する

③でPCB汚染物は倉庫の中で保存することになったため、倉庫の入り口及び保管する周辺の見易い場所に看板を作り掲示しました。

特別管理産業廃棄物管理責任者は自分が勤めている工場の自治体では届出が必要なくなったため、この掲示板に名前を記載することが届の代わりになります(なんか安衛法の作業主任者みたいですね)。廃掃法関係はかなり細かいところまで罰則が決まっていて、不備があると懲役or罰金が課せられるので、責任者名に自分の名前が記載されているのを改めて見るとあんまりいいきがしないですね〜😖

⑤密閉できる容器を準備し(今回はドラム缶)、対象物をビニール袋に詰め重量を測定しドラムに詰め込んで、密閉する(施錠する)

今回は❶10kgぐらいの対象物(粉状)が入った長方形の段ボール、❷5kg1ぐらいの対象物が入った円筒形の段ボール(⁉️)、❸それらを小分けしていた1kg缶5缶、❹ガラス瓶5本でしたので、容器は200kgドラム缶を選定しました。

❶〜❹をそれぞれビニール袋に詰めると共に重量を測定、ビニール袋(とメモ帳)に重量を記載した後、ドラム缶に大きいビニール袋を広げ、その中に割れたり・漏れないように「わちゃっと」詰め込みました😅

ドラム缶に始めに広げたビニール袋を外に出ないように中に押し込み、蓋をして接続部に金属製の輪っかをつけ鍵を掛けて準備完了。鍵は特管責任者である自分が管理することしました。

⑥4月以降(6月末までに)「PCB廃棄物保管状況及び処分状況等届出書」を作成し、官公庁(自分の場合は県庁の廃棄物指導課でした)に提出し受理して貰う

まず「PCB廃棄物保管状況及び処分状況等届出書」を作成しないといけないので、自分は工場で過去 高濃度PCB廃棄物を保管していた時の「届出」を参考にしようと以前の届出書を確認しましたが、①フォーマットがかなり違っていた②高濃度と低濃度では記載内容が大きく違うためあまり参考になりませんでした(無駄なことを色々やっちゃいました😓)。

そのため各管轄の県庁ホームページ等から書式を入手し、下記URLにある「PCB特別措置法に基づく各届出書の記入要領」を参考に記載するのがいいと思います。

https://www.env.go.jp/content/900535249.pdf

届出のタイミングですが今回は定期報告時期に分析結果が分かったこともあり、県庁廃棄物指導課の方から定期報告書を出せばいいと言われました。これは条例などを確認ください。特に東京都のページを見ると他道府県より厳しい対応が必要なようです。

記載例については下記PDFを見て確認するといいと思います。

https://www.env.go.jp/content/900535270.pdf

上記の場合は

「①前年度の3月31日に保管していたポリ塩化ビフェニル廃棄物」の表については

「廃棄物の種類」の欄その他(粉体)、その他(粉体)、その他(ガラス瓶)、その他(プラスチック瓶)の4項目あげそれぞれ「台数又は容器の数」「総重量」「濃度区分」(低濃度)「保管の状況」欄を記載しました。

「保管の状況」の「容器の性状」は「ドラム缶」「囲い等の有無」は「有」、「分別・混在の別」は「分別」、「漏れ等のおそれ」は「なし」で記載しました。

(↑申請する際には②しか記載してなかったのですが、官庁申請時記載するようにと指摘され記載しました。)

「②前年度中に新たに保管することとなったポリ塩化ビフェニル廃棄物の表については

「廃棄物の種類」「量」「濃度区分」については①と同様に記載、

「保管開始年月日」はドラム缶に入れて保管し始めた日としました。

「保管開始理由」については「濃度分析で判明」と記載しました。

(↑については最初「譲受け」としていたのですが、官庁に申請した際に事情を聞かれ「濃度分析で判明」に訂正するよう言われて訂正しました。)

その他として以前自分の工場では高濃度PCB廃棄物を保管していたことがあり、その時の担当者(現在定年後再雇用で働いてくれている人)に話を聞いたところ、官庁からかなり絞られるとの話を聞いて、ビクビクして届出にいきました😓が、受付で「低濃度PCB廃棄物が新たに発生しましたので保管状況等の届出を提出にきました。」と話したところ「あっそ」とのような肩透かしな対応をされました(これが高濃度だったら凄いことになるのかもしれません)😌

という感じで届出書は官庁の方からの指導を受け1/3ぐらい訂正が必要でしたが、なんとか届出を受理して貰いました。

これ実施した際、工場内の管理職以上で廃掃法やPCB特措法を理解している(実施したことがある)人がいなくて、決めてくれる人がいなくてホント大変でした。

やったことがないことを実施するのは不安ですよね。しかもそれが法令で責任を伴うものだったら(保管状況届出書を届出していなければ罰金)尚更だと思います。自分のこのブログで実施例を知って貰い、実際担当する方の不安が少しでも和らげば幸いです。

ではでは みなさん今日も一日ご安全に〜😄


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA